day essay. 1

跡苔ふいあ

積み上がった文庫本の群れをみて、膣で建てた城だ。とおもう。つつけば簡単に崩れるようなバランスでたっている。


わたしが貯金で古民家のひとつでも買い、そのままそこで子を産めば、それは城になるだろうか。数えるのもめんどうなくらいの数の男たちと建てた、一晩きりの砂の塔。その一粒々々をかきあつめて建てる、本物の城。濃厚なドリップだ。


金曜日だからなのか。出勤前に立ち入ったチェーン喫茶では、ただのコーヒーなのにどこかラムの風味がする。気がする。分厚いガラス越しにハトの群れがみえる。みょうに黒々とした彼らは、繁華街の残滓を漁るためにうろついている。まるでギャングの風体だ。でも、ほんものの「ギャング」がいるこの街では、この考えはあまり意味もない。


出勤。ハードめのプレイを2,3件、大体90分ずつこなす。拘束時間の割には給与はそんなに高くない。移動中、発砲音か排気音か、ギリギリわからない音が1発。0.5秒くらいおいて、もう2発。ああ、世田谷区のよさげな邸宅等で家庭教師等やりてえ。それはそれで地獄だということはある程度知っているのだが。


家。ペティナイフで鶏をきざむ。この弾力のあるもも肉は、「きれいになって」我々の元にやってきたものだ。この仕事でなければ屠殺業に就こうか迷ったが、体力のなさ・不器用さを懸念して前者にした。鶏肉のドリップは精液のにおいにかなり近い。